祇園の枝垂れ桜は名桜である。その姿形は優美ともいえる。
一見して、意識を奪われるだけの力がある。
現在の樹は円山公園に植樹された枝垂れ桜の二代目である。
一重の桜で、推定樹齢は80年ほど。
もうかなりの老樹で桜守りの佐野さんのご尽力がなければ、
とうに枯れているのではないかとも思う。
画像を見ても切断もし、接ぎ木もしているようにも見える。
現在は15年ほど前の優美さは損なわれて、ちょっと痛々しい。
樹が弱った原因は老齢ということもあるのだろうが、
主にカラスの害とも聞く。それとともに付近の喧騒、
ライトアップ、すぐ側での篝り火なども起因するのではなかろうか。
花のシーズンともなると人々が押し寄せて、昼も夜中も騒ぐという
日々の連続では桜であってもストレスは相当のものだろう。
付近には寺社が多いが、花の頃には人の狂態が見られる。
もともとこの地は「円山安養寺」や「八坂神社」などの土地だが、
明治の上地令によって各寺社の敷地は削られて、公園となった。
それから120年ほどになる。公園名は円山安養寺から採られている。
古くは「真葛が原」と呼ばれていて、山城の歌枕のひとつだ。
私がこの樹が桜の花をつけているのを初めて見たのは、そんなに
古いことではないように思う。仕事を持っている時には平日は
もちろん休日も関係なくおおむね仕事の毎日だったので、出歩く
ことは少なかったのだ。
とはいえ2000年までには何度も見ているはずだが、当時は写真を
撮るという習慣もなく、証拠となるものがない。
2000年を超えたあたりから写真は撮ってはいると思うが、残っている
ものは少ない。不思議なほどに画像がない。それが残念だ。桜は花を
付けた日数はとても少なくて、相対的に満開の頃に見に行くこと自体が
少ない。花の頃はあまりにも短い。
あるいは古いCDに入っているかも知れないのだが、調べないままである。
もし出て来るようであればアップすることにします。
少しですが「桜花紀行総合」の「京都祇園の桜」に入れています。